防災訓練としての“かち歩き” (平成4年)

防災訓練としての“かち歩き” 1.大人になるための鍛錬 世界の各地に古くから心身の鍛錬があり、忍耐力や克已心、向上心などを培うためのいろいろな行事があった。 例えば、日本では、力だめし、相撲、肝試し、遠泳、山登り、綱ひき、和船競漕など。これらは…

野外伝承遊びは人づくり(平成11年)

野外伝承遊びは人づくり 1.文明の落とし子たち 今日の文明社会では、子どもたちか野外で遊ばなくなっているし、遊べなくなっている。その代わり、文明機器を相手に室内で1人で遊ぶようになった。世界の多くの人々は、そのような子どもたちを文明化や豊か…

知恵者たちの青少年教育(平成8年)

知恵者たちの青少年教育 1.文明社会の諸現象 自然とともに生きてきた私たち人類は、より豊かに、安全に、幸せに生活するために、いろいろな道具を生み出してきた。ところが、その文明器具が、私たちの価値観や生活観・行動様式にまで大きな影響を及ぼすよ…

少年期に総合的体力を(平成30年)

少年期に総合的体力を 1.少年期の心身発達段階 ここでの少年とは、心身の完成期に達していない男女のことで、心身の発達段階によって、6歳から15歳までとする。 少年期の心身の発達段階としての年間発育量は、次のように考えられている。 神経の発達は5歳…

少年教育の基本は予防対応 (平成26年)

少年教育の基本は予防対応 1.いじめ・非行等はなくならない 人間が社会的動物である限り、争いや不和は起こり得る。ましてや未熟な子どもの世界では、いじめやけんか、そして非行等は起こり得ることである。 だからこそ、学校教育も社会教育も、それらを未…

青少年教育の起こり(平成9年)

青少年教育の起こり 1.強い女性と弱い男性の社会 動物の多くは母系社会で、私たち人類も、放置すれば自然に母系的社会になる。 本性的女性の特徴は、男性よりも生命力や順応性が高く、非活動的で物事に対する反応のスイッチかオンとオフに切り替わり難く、…

青少年教育と政治観(昭和63年)

青少年教育と政治観 新しい日本の政治は、繁栄のための経済活動を中心とするものではなく、社会の安定と継続をも重要視すべきである。さもなければ、社会の内部衰退による墓穴を掘ることになる。 1.見本のない青少年教育 日本史上、今日ほど青少年教育が困…

子どもたちに今何が必要か(昭和60年)

子どもたちに今何が必要か いつの時代にも子どもたちの特徴を知り、社会的、文化的にどのようなことが欠けており、どのような人間性や社会性が望ましいかを考え、そのことを子ども自らに気づかせる生活労働の体験が必要なのである。 1.巣ごもりは非社会的…

同世代の親たちへ(昭和58年)

同世代の親たちへ 表層文化と自由という名の自己主義に溺れかけた日本人の社会集団は、義務とか責任を敬遠しがちだが、それでは社会の後継者を培うことは難しく、活力が衰退しがちになる。 1.親は子のなりあがり 昭和58年4月8日の東京は。桜が満開に咲…

コロナウィルスと共に生きる(令和2年)

コロナウィルスと共に生きる 1.生き物は常時戦場 生き物には、植物のような独立栄養体と、有機物を体外から取り入れて生きる動物のような間接栄養体がある。 いずれにしても、生命ある物が生きるには、絶えず自然的(気温・乾燥・嵐など)、社会的(戦争・…

自然災害は人間を鍛える(平成23年)

自然災害は人間を鍛える 1.自然災害は万民共通 地球上に約70億人が、193の地域や国に分かれて暮らしている。これらの国や地域によって自然災害のあり方は異なるが、地震・雷・火事・津波・火山・台風・竜巻・洪水・乾燥・高温・寒気・生物の異常発生、異常…

民主主義と“子どもの貧困”(平成29年)

民主主義と“子どもの貧困” 1.子どもは弱者 12、3歳までの子どもは、生活力がなく、自立する力がまだ不十分で、ひ弱で貧しいのは当たり前なのだが、この頃、子どもの貧困か取り沙汰され、社会問題になっている。それは、家族や社会の在り方に問題がある。 …

不透明な時代を生き抜く力(平成21年)

不透明な時代を生き抜く力 1.不透明な文明時代 人類が有史以来続けてきた青少年教育の目的は、社会の後継者を育成し、社会の安定と継続を図るためであった。その点からすると、日本における青少年、特に少年教育は、日本人の価値観や生き方、食文化、風習…

文明に犯された子どもたち(平成9年)

文明に犯された子どもたち 1.作られたひ弱さ 「助けてくれ!」 文明に犯された子どもたちの悲鳴が、日本の至る所で発せられている。しかし、金権主義と利己主義に犯された大人たちの耳には入らず、見ぬふりをしている。 日本が経済的発展に邁進する昭和40…

教育改革は教員養成から(昭和62年)

教育改革は教員養成から 教員養成大学及び社会教育関係者を養成する大学に、“野外文化講座”を開講し、知恵と知識のある教員や指導者を養成すべきである。 1.民主教育と日本 戦後の日本は、20世紀におけるアメリカ的理想教育をしてきたのではあるまいか。 …

小中学生に生活体験を(平成元年)

小中学生に生活体験を 地域社会における社会人準備教育の機能が衰退している今日の日本では、教育も育成も学校に頼るしかあるまい。そこで、国家の政策として学校教育の中に、基本的能力を育成するための生活体験の授業を、取り入れることが必要不可欠となる…

青年の行動の原点(昭和60年)

青年の行動の原点 行動が正しいかどうかは後日にまかせるしか方法がないので、ことの始まりを知り、経過を意識することができるならば、まず己の信ずるところに従って行動することである。 1.ふるさとからの出発 幼少年時代を過したふるさとの海や川、野山…

母系社会の男たち(昭和56年)

母系社会の男たち 女性が親族集団の成員権や財産の所有権をもつ母系社会では、社会の管理や監督権は男性にゆだねられている。 1.男女関係の不安定な社会 野性動物の殆どが母親を中心とする社会生活を営んでいる。人間も決してその例外ではなく、インド東北…

新日本人からの提言(昭和55年)

新日本人からの提言 防衛論議が盛んであるが、武器戦争だけが恐ろしいのではなく、日本の生活文化に対する間接的な文化的侵略によって社会的衰退を招くことの方が恐ろしい。 1.人類史の中の戦争 8月はテレビや新聞などで、“戦争物語”をする月だが、今年(…

野外文化活動に関するお願い(昭和55年)

野外文化活動に関するお願い 私は日本の社会人であることに疑問も不満もないが、共通語を持ち、風俗習慣を同じくして生活する日本人社会で、日本の生活文化を子供たちに伝承する義務と責任がある。 1.社会と無縁な価値観 「偉い人ってどんな人ですか?」 私…

教育の手段を目的とするなかれ(平成12年)

教育の手段を目的とするなかれ 1.教育の目的と手段 私たち人間は、個人であると同時に社会人であることが必要であるが、日本の民主教育は個人尊重の理念が強すぎて、社会人の義務と責任が軽んじられてきた。そのため、社会人としての基本的能力(野外文化…

少年期に必要な集団化 (平成23年)

少年期に必要な集団化 1.群れ遊ぶ子どもたち ここで言う少年期は6~15歳くらいまでだが、前半の6~10歳くらいの子どもは、自然に仲間を求めて群れ遊ぶ。そして、仲間同士で集まっている安心感や存在感などの心理作用による集団化によって、規則・競争・義…

文化としての離合集散(平成21年)

文化としての離合集散 1.整列できない子どもたち 「整列しなさい」 初日の朝の集いで2・3度叫んでも、なかなか整列しようとしない。整列の意味が分からないのかもしれない。 「ちゃんと並びなさい」 言い換えてみても態度は変わらず、個々ばらばらに立っ…

人間は個人化より先に社会化を(平成28年)

人間は個人化より先に社会化を 1.まずは動物的社会化 人生の基礎が培われる少年期は6~15歳くらいまでだが、前半の6歳~10歳くらいの子どもは、家族から離れて自然に仲間を求めて群れ遊ぶようになる。そして、仲間同士で集まっている安心感や存在感、居場…

文化としての道徳心(令和元年)

文化としての道徳心 1.道徳心の起こり 科学的文明が発達・発展して経済活動が活発化した今日、いろいろな社会問題が発生しているが、その主な原因は、人類に道徳心が薄れたことだろう。 古来、人類か最も恐れたのは闇であり、光のない世界は、不安と孤独に…

人類が伝えること(平成19年)

人類が伝えること 1.多様な能力 私たち人類は、自然環境に順応して生きるために、心身の鍛錬によって強健になる努力をするとともに、都合のよい環境をつくり、よりよい生活をするために、いろいろな工夫をこらしてきた。 人間以外の動物は、生活手段が牙や…

10日間の学校外教育制度の導入(平成12年)

10日間の学校外教育制度の導入 1.政治は人づくりから 豊かな科学的文明社会の最大の課題か教育であることは、多くの人が気づいているが、どう対応すればよいのか暗中模索の状態で、文明化に対応する“人づくり″があまり具体化されていない。今こそ政治が新…

公教育に必要な生活体験(平成18年)

公教育に必要な生活体験 1.人類未経験の社会 “必要は発明の母”と言われてきたが、人類は多くを創造してきた。例えば照明、電気、電子、電波、汽車や電車、自動車、船、飛行機、ロケット、その他諸々の化学物質や医薬品、医療器具等、数え切れない程沢山あ…

ポスト近代(モダン)教育とは(平成8年)

ポスト近代(モダン)教育とは 1.国語を理解しにくい子供たち 今日の子供たちの多くが、学習によって覚える国語を十分理解できないまま、授業を受けていると言われている。そしてその子供たちに、もう1つの言葉「英語」も教え込もうとしている。国際的商…