この日本 誰に渡す(平成3年)

この日本 誰に渡す 1.豊かな日本 社会には共通の了解事項や、規制が必要。さもないとお互いに騙し合い、傷つけ合い、裏切り合う弱肉強食となりがちである。だからこそ、これまでのいかなる社会でもお互いの了解事項(道徳心又は規則)を大切にしてきた。そ…

人民融和のための青少年教育(平成元年)

人民融和のための青少年教育 風習や道徳心は、人民が自ら融和を図る知恵として今日まで伝承されてきたが、青少年教育もまさしく人民融和を目的として行われることが重要である。 1.自然環境と食文化・米 自然の一部である人間は、太古より自然に順応・適応…

日本人からの出発(昭和62年)

日本人からの出発 日本人は、まずしつかりとした日本人であることが、国際社会に生きる資格であり、自分たちの文化を大事にすることこそが国際化への道であることを、承知することが必要だ。 1.不明な日本人像 この数年来、日本に日本人かいなくなりつつあ…

日本の安定・継続と少年教育(令和3年)

日本の安定・継続と少年教育 1.大義が薄れた日本 日本は、世界一長い歴史のある珍しい国で、国体が一千年以上も継続していた。そのことは、諸外国にとっては羨望であり、文化的脅威であった。 しかし、第二次世界大戦で敗戦国になった日本は、長きに渡り戦…

世界における日本の役目(平成26年)

世界における日本の役目 1、大義が薄れた日本人 これまでの半世紀近くもの間、日本は平和で豊かな安定した社会であった。それは、大義を重んじた日本人の努力と工夫の賜物であった。しかし、それが今崩れかけている。 この頃マスコミをにぎわしているJR北海…

大東亜戦争の人類史的考察(平成27年)

大東亜戦争の人類史的考察 1.日本の旗手を担いだ選手たち 1964年10月10日から始まった、アジアで初めての東京オリンピック大会は、天候に恵まれ、大会は見事に運営されて、滞りなく10月24日に閉会式を迎えた。 閉会式では、各国の選手団が、旗手を先頭に整…

先進国・日本からの発信(平成24年)

先進国・日本からの発信 1.人口増加と資源不足の地球 私たちが住んでいる青い地球は、宇宙に浮いた球体で、自転と公転を常時繰り返している。その地球上に、2011年11月30日現在、192の国と地域に分かれて70億人が暮らしている。世界人口は1987年には50億人…

日本の国際化と国民化教育(平成20年)

日本の国際化と国民化教育 1.孤独で不安な社会 本年(平成20年)3月21日の新聞によると、今日の日本人社会は、7割もの人が、他人や企業を信用できず、不安を抱いているそうである。 某新聞社の社会意識調査によると、政治家と官僚に対する信用度は、なんと…

日本人の国際化と国籍(平成8年)

日本人の国際化と国籍 1.国際化に必要な国籍 私たち日本人は、“国際社会において、名誉ある地位を占めたい”と思っているのか、“国際化”という言葉が好きである。 国際化には、個人的と社会的があり、また、経済的、文化的、政治的などもあるが、いずれにし…

世界の中の日本(昭和49年)

世界の中の日本 人は誰でも父母と故郷と祖国を持っている。中にはかつてのユダヤ人のように放浪の民もあったが人間誰しも、自分の安住の地を求めんと努力する。その努力が生きることの苦難と闘うエネルギーでもあるはずだ。 故郷である大地、祖国である大地…

たなばたの原点(昭和58年)

たなばたの原点 千数百年も続いた年中行事である“たなばた”は、日本人にとって、夢のある家族的な祭りとして、夏のある限り続けられるであろう。 1.たなばたとは たなばた………誰もが口にし、知っている言葉なのに、まじめに考えると、なんのことかその意味…

日本の元旦の習わし(平成29年)

日本の元旦の習わし 1.元日の朝 2017(平成29)年元日の朝、東京は雲ひとつない、突き抜けるように澄み切った青空で、摂氏12、3度と大変穏やかであった。 午前7時過ぎに起き、まずは神棚に手を合わせ、9時から近くの井草八幡宮へ、自転車で初詣。すでに7…

お正月の原点(昭和57年)

お正月の原点 お正月の年神様は大晦日に来臨し、願いごとを聞き届け、1月15日の小正月、ドンド焼きの煙になってお帰りになる。 1.年神様と門松 正月というのは太陰暦の第1の月の別称であり、中国から移入された言葉であるが、日本から東南アジアにかけての…

カタカナ姓は異文化(昭和58年)

カタカナ姓は異文化 日本の過去における帰化人が、数世代後に同化してしまったのは、姓の日本化にあったものと思われる。 1.日本人の姓は日本語 法務省が、カタカナ姓を実質的に許可したことは、7月17日の新聞に大きく報道されていた。 “キム、ワン、ス、…

日本語の2通りの数え方(昭和62年)

日本語の二通りの数え方 日本人は、“いち、に、さん”と“ひい、ふう、みい”の2通りの数え方を使いわけたことにより、日本人特有の感情や考え方を培わせたのではあるまいか…。 1.言葉の使いわけ 日本には古くから数の数え方が2通りある.この理由について…

文化戦争と教育(平成4年)

文化戦争と教育 1.文化戦争とは 世界の多くの民族や国家が、社会の後継者である青少年教育に熱心であったのは、独自の文化を守り、伝承するための必要課題であったからである。 社会にとって大事なことは、共通の言葉や風習、価値観や規範をもつことである…

天皇即位に必要な大嘗祭(平成28年)

天皇即位に必要な大嘗祭 1.稲作による生活文化 稲は多年草だが、毎年定期的に苗を植えては刈り取るので、日本人にとって最も身近にある植物であった。そして、稲作農農業の過程の風景や仕事から、巡りめく季節感や年中行事、祭りなどが発生し、今日もまだ続…

稲作文化としての新嘗祭(平成2年)

稲作文化としての新嘗祭 30数年前までは稲作が盛んで“瑞穂国”と美称されていた日本で、本年11月23日夕刻から23日未明にかけて大嘗祭が行なわれる。大嘗祭は、新天皇が即位後、初めて行なう新しい穀物(米)を食べる新嘗の儀式のことであり、毎年行な…

稲に育まれた感性(平成5年)

稲に育まれた感性 1.米は稲の実 ウルグアイ・ラウンドによって、“米”がよく話題にのぼっている昨今であるが、単に生産者と消費者の関係でしかなく、大切な人の心を育む教育的なことか無視されている。それに、日本の農民が栽培している作物は“稲”で、米はそ…

日本人と自然(昭和51年)

日本人と自然 人間が自然に適応して生きるために、考えだした生活の知恵が文化なら、文明はより快適に生きるために考えだされた物である。木にたとえれば日本の文化は、日本人にとっては台木であり、近代文明は接木された枝葉である。 1.感情豊かな日本人 …

日本文化の原点(昭和57年)

日本文化の原点 神社の鳥居も千木、かつお木、高床式切妻造りの社も、かつて、日本の古代人が日常生活に使っていたものの名残りであり、稲作農耕民の象徴なのである。 1.不思議な言葉と型 日常見慣れているものを、ふと「どうして?なぜ?」と再確認してみ…

日本人に名誉と勇気を(平成11年)

日本人に名誉と勇気を お金を失うことは、少し失うことだ 名誉を失うことは、多くを失うことだ 勇気を失うことは、全てを失うことだ ゲーテの言葉である。 人類は、これまで長い間、貧に対する哲学を持ち、飢えに対する文化を培ってきた。しかし、まだ豊かさ…

日本人が誇れるもの(平成元年)

日本人が誇れるもの これ程世界の知識、情報、技能、文化、物資を一堂に集めていながら、青年が自分の国を誇れないのは、社会の価値基準が狂っているせいかもしれない。それにしても、大人がもう少し自信と誇りをもつべきではあるまいか。 1.社会に役立つ…

日本人の保証(昭和56年)

日本人の保証 人間は不安で満たされないときは努力し安全を求め、平和で豊かなときには労働意欲をなくし快楽を求める。しかし、いかなるときにも人間の最後の保証は自然の恵みである。 1.世界の中の自分の大地 私は過去11年間に111ヵ国の国々を探訪し…

逞しい日本人の育成(平成25年)

逞しい日本人の育成 1.孤独で淋しい子どもたち 4~50年前までの日本の子どもたちは、家庭や地域社会で異年齢集団での群れ遊びが自然に出来ていた。ところが、昭和40年代に入ると日本が徐々に豊かになり、人口が都市に集中する工業化が進み、地域社会が崩壊…

先取り好みの日本人(昭和57年)

先取り好みの日本人 日本列鳥のように、民族戦争のなかった地域の人々は、侵略がいかなる行為であり、それが時と場合によって、悪にも善にもなり得るという外交術の舞台裏を理解しきれないことが多い。 1.侵略のなかった国 人類史の中で、日本人は民族戦争…

日本人としての在り方(平成30年)

日本人としての在り方 1.個々に多少の犠牲 この地球上に74億人以上も住んでいる人類は、残念なことに、集団生活を営みなから自己を主張して他を否定したり、抹殺したりするという残酷を極める本質がある。しかしもう一方では、集団の中でより良く逞しく生…

民族的日本人とは(昭和52年)

民族的日本人とは 人間は、インターナショナルになればなるほどナショナルになり、年長者になればなるほど閉鎖的で、若ければ若いほど解放的である。 1.日本人とは 「日本人とは?」と尋ねられて、まともに答えられる日本人は少ない。 日本人という意味には…

遅れて来た民族(昭和57年)

遅れて来た民族 世界中から遅れて来た民族と思われている日本人の真価は、豊かな現状を平和的により長く維持することによって認められる。 1.発展するのは何故か 今や日本の存在は世界の注目の的になっている。しかし。その本質について知っている日本人は…

民族の言葉と風習(昭和56年)

民族の言葉と風習 自然環境によって培われた言葉や風俗習慣は、共同体験を通じてのみ理解されるものであり、理論的に比較できるものではない。 1.自然は創造の知恵 中国の雲南山岳地帯の南に続くナガ高地にコニャック族と呼ばれる人々が住んでいる。彼らは…