2022-05-01から1ヶ月間の記事一覧

母系社会の男たち(昭和56年)

母系社会の男たち 女性が親族集団の成員権や財産の所有権をもつ母系社会では、社会の管理や監督権は男性にゆだねられている。 1.男女関係の不安定な社会 野性動物の殆どが母親を中心とする社会生活を営んでいる。人間も決してその例外ではなく、インド東北…

新日本人からの提言(昭和55年)

新日本人からの提言 防衛論議が盛んであるが、武器戦争だけが恐ろしいのではなく、日本の生活文化に対する間接的な文化的侵略によって社会的衰退を招くことの方が恐ろしい。 1.人類史の中の戦争 8月はテレビや新聞などで、“戦争物語”をする月だが、今年(…

野外文化活動に関するお願い(昭和55年)

野外文化活動に関するお願い 私は日本の社会人であることに疑問も不満もないが、共通語を持ち、風俗習慣を同じくして生活する日本人社会で、日本の生活文化を子供たちに伝承する義務と責任がある。 1.社会と無縁な価値観 「偉い人ってどんな人ですか?」 私…

教育の手段を目的とするなかれ(平成12年)

教育の手段を目的とするなかれ 1.教育の目的と手段 私たち人間は、個人であると同時に社会人であることが必要であるが、日本の民主教育は個人尊重の理念が強すぎて、社会人の義務と責任が軽んじられてきた。そのため、社会人としての基本的能力(野外文化…

少年期に必要な集団化 (平成23年)

少年期に必要な集団化 1.群れ遊ぶ子どもたち ここで言う少年期は6~15歳くらいまでだが、前半の6~10歳くらいの子どもは、自然に仲間を求めて群れ遊ぶ。そして、仲間同士で集まっている安心感や存在感などの心理作用による集団化によって、規則・競争・義…

文化としての離合集散(平成21年)

文化としての離合集散 1.整列できない子どもたち 「整列しなさい」 初日の朝の集いで2・3度叫んでも、なかなか整列しようとしない。整列の意味が分からないのかもしれない。 「ちゃんと並びなさい」 言い換えてみても態度は変わらず、個々ばらばらに立っ…

人間は個人化より先に社会化を(平成28年)

人間は個人化より先に社会化を 1.まずは動物的社会化 人生の基礎が培われる少年期は6~15歳くらいまでだが、前半の6歳~10歳くらいの子どもは、家族から離れて自然に仲間を求めて群れ遊ぶようになる。そして、仲間同士で集まっている安心感や存在感、居場…

文化としての道徳心(令和元年)

文化としての道徳心 1.道徳心の起こり 科学的文明が発達・発展して経済活動が活発化した今日、いろいろな社会問題が発生しているが、その主な原因は、人類に道徳心が薄れたことだろう。 古来、人類か最も恐れたのは闇であり、光のない世界は、不安と孤独に…

人類が伝えること(平成19年)

人類が伝えること 1.多様な能力 私たち人類は、自然環境に順応して生きるために、心身の鍛錬によって強健になる努力をするとともに、都合のよい環境をつくり、よりよい生活をするために、いろいろな工夫をこらしてきた。 人間以外の動物は、生活手段が牙や…

10日間の学校外教育制度の導入(平成12年)

10日間の学校外教育制度の導入 1.政治は人づくりから 豊かな科学的文明社会の最大の課題か教育であることは、多くの人が気づいているが、どう対応すればよいのか暗中模索の状態で、文明化に対応する“人づくり″があまり具体化されていない。今こそ政治が新…

公教育に必要な生活体験(平成18年)

公教育に必要な生活体験 1.人類未経験の社会 “必要は発明の母”と言われてきたが、人類は多くを創造してきた。例えば照明、電気、電子、電波、汽車や電車、自動車、船、飛行機、ロケット、その他諸々の化学物質や医薬品、医療器具等、数え切れない程沢山あ…

ポスト近代(モダン)教育とは(平成8年)

ポスト近代(モダン)教育とは 1.国語を理解しにくい子供たち 今日の子供たちの多くが、学習によって覚える国語を十分理解できないまま、授業を受けていると言われている。そしてその子供たちに、もう1つの言葉「英語」も教え込もうとしている。国際的商…

少子高齢化社会の泥棒たち(平成10年)

少子高齢化社会の泥棒たち 平成10年8月22日、関西空港からトルコ航空でイスタンブールへ飛ぶ。 翌23日は日曜日で快晴であった。午前九時半頃、ガラタ橋のたもとから、3~4階建の石造りの家々が並ぶ旧市街の坂道を歩いた。ペルシア風のバルコニーが張り出…

野外文化教育への道標(令和4年)

野外文化教育への道標 1.民主教育による個人化 日本の民主教育は、幼稚園時代から自主性、積極性、個性などの個人性を重視するもので、どちらかと言えば、知識偏重で、生きる基本的能力や社会性をないがしろにしがちである。 社会は人により、人は教育によ…

犯罪防止に体験活動を(平成20年)

犯罪防止に体験活動を 1.通じなくなった風習 30数年前の東京の雑踏では、お互いが視線や仕種等で瞬時に判断し合い、ぶっつかることはなく歩けた。 私はよく外国旅行をするが、街頭でぶっつかったり、身の振り方に迷ったりすることがある。それは瞬時に判断…

教育人類学的教育改革(平成8年)

教育人類学的教育改革 1.日常の学習動機づけ 日常とはきわめて普通のことであるが、今日の日常は明日の日常ではない。「日々是新」の言葉どおり、平凡に見える日々も、大きな変化の一歩である。子どもたちは、ささやかであっても珍しいことが1つでもあれば…

人づくり意識革命(平成6年)

人づくり意識革命 1.子育て革命十ヵ条 人づくりには家族と地域社会の人々が連携を保つことが重要である。人づくりとしての子育てでいう“子”とは、6~15歳までを意味する。 (1)子どもは地域社会の後継者 (2)子どもの仕事は遊び(体験学習) (3)自然体…

グリーンアドベンチャー・新しい野外文化(昭和50年)

グリーンアドベンチャー・新しい野外文化 緑の豊かな日本には、昔から山水を友とする風習があったが、いまはすたれがちになっている。しかし、現在でも少し工夫すれば、費用は少なく、簡単に楽しめる自然の諸々がわれわれの周囲にはいくらでもある。自分にと…

自己防衛能力の開発(昭和59年)

自己防衛能力の開発 自己防衛能力の基本を子に伝えるのは親の義務であり、自己防衛能力の高い後継者をつくるのは社会人の義務と責任である。 1.人間は無防備な動物 この早春、氷の張った山中湖で東大生数名が死亡した。親や周囲の人々は、「まさか!・・・・」…