2022-08-01から1ヶ月間の記事一覧

稲作文化としての新嘗祭(平成2年)

稲作文化としての新嘗祭 30数年前までは稲作が盛んで“瑞穂国”と美称されていた日本で、本年11月23日夕刻から23日未明にかけて大嘗祭が行なわれる。大嘗祭は、新天皇が即位後、初めて行なう新しい穀物(米)を食べる新嘗の儀式のことであり、毎年行な…

稲に育まれた感性(平成5年)

稲に育まれた感性 1.米は稲の実 ウルグアイ・ラウンドによって、“米”がよく話題にのぼっている昨今であるが、単に生産者と消費者の関係でしかなく、大切な人の心を育む教育的なことか無視されている。それに、日本の農民が栽培している作物は“稲”で、米はそ…

日本人と自然(昭和51年)

日本人と自然 人間が自然に適応して生きるために、考えだした生活の知恵が文化なら、文明はより快適に生きるために考えだされた物である。木にたとえれば日本の文化は、日本人にとっては台木であり、近代文明は接木された枝葉である。 1.感情豊かな日本人 …

日本文化の原点(昭和57年)

日本文化の原点 神社の鳥居も千木、かつお木、高床式切妻造りの社も、かつて、日本の古代人が日常生活に使っていたものの名残りであり、稲作農耕民の象徴なのである。 1.不思議な言葉と型 日常見慣れているものを、ふと「どうして?なぜ?」と再確認してみ…

日本人に名誉と勇気を(平成11年)

日本人に名誉と勇気を お金を失うことは、少し失うことだ 名誉を失うことは、多くを失うことだ 勇気を失うことは、全てを失うことだ ゲーテの言葉である。 人類は、これまで長い間、貧に対する哲学を持ち、飢えに対する文化を培ってきた。しかし、まだ豊かさ…

日本人が誇れるもの(平成元年)

日本人が誇れるもの これ程世界の知識、情報、技能、文化、物資を一堂に集めていながら、青年が自分の国を誇れないのは、社会の価値基準が狂っているせいかもしれない。それにしても、大人がもう少し自信と誇りをもつべきではあるまいか。 1.社会に役立つ…

日本人の保証(昭和56年)

日本人の保証 人間は不安で満たされないときは努力し安全を求め、平和で豊かなときには労働意欲をなくし快楽を求める。しかし、いかなるときにも人間の最後の保証は自然の恵みである。 1.世界の中の自分の大地 私は過去11年間に111ヵ国の国々を探訪し…

逞しい日本人の育成(平成25年)

逞しい日本人の育成 1.孤独で淋しい子どもたち 4~50年前までの日本の子どもたちは、家庭や地域社会で異年齢集団での群れ遊びが自然に出来ていた。ところが、昭和40年代に入ると日本が徐々に豊かになり、人口が都市に集中する工業化が進み、地域社会が崩壊…

先取り好みの日本人(昭和57年)

先取り好みの日本人 日本列鳥のように、民族戦争のなかった地域の人々は、侵略がいかなる行為であり、それが時と場合によって、悪にも善にもなり得るという外交術の舞台裏を理解しきれないことが多い。 1.侵略のなかった国 人類史の中で、日本人は民族戦争…

日本人としての在り方(平成30年)

日本人としての在り方 1.個々に多少の犠牲 この地球上に74億人以上も住んでいる人類は、残念なことに、集団生活を営みなから自己を主張して他を否定したり、抹殺したりするという残酷を極める本質がある。しかしもう一方では、集団の中でより良く逞しく生…

民族的日本人とは(昭和52年)

民族的日本人とは 人間は、インターナショナルになればなるほどナショナルになり、年長者になればなるほど閉鎖的で、若ければ若いほど解放的である。 1.日本人とは 「日本人とは?」と尋ねられて、まともに答えられる日本人は少ない。 日本人という意味には…

遅れて来た民族(昭和57年)

遅れて来た民族 世界中から遅れて来た民族と思われている日本人の真価は、豊かな現状を平和的により長く維持することによって認められる。 1.発展するのは何故か 今や日本の存在は世界の注目の的になっている。しかし。その本質について知っている日本人は…

民族の言葉と風習(昭和56年)

民族の言葉と風習 自然環境によって培われた言葉や風俗習慣は、共同体験を通じてのみ理解されるものであり、理論的に比較できるものではない。 1.自然は創造の知恵 中国の雲南山岳地帯の南に続くナガ高地にコニャック族と呼ばれる人々が住んでいる。彼らは…

現代日本の怪物″ぎまん”(平成10年)

現代日本の怪物‶ぎまん“ 怪物とは正体不明の物、化け物のことである。昔、平安時代に京都の夜空に出没したといわれる怪物“ぬえ”は、人間の恐怖心を吸い込んでエネルギーにしたといわれている。しかし、今日の砂漠化した日本人社会に棲む怪物“ぎまん”は、人間…

日本の必要条件(昭和62年)

日本の必要条件 我々は、これから社会の後継者づくりに努力し、内部の充実と発展を促してしっかりと大地に根をはり、この繁栄と平和の恩恵を地球上の人々と共に、より長く分かち合えるように最善を尽さねばならない。 1.繁栄の条件 定住した稲作農耕文化を…

「日本」という土俵の上で(平成18年)

「日本」という土俵の上で 1.個人性重視の教育 憲法や教育基本法が半世紀以上も棚上げされていたが、今やっと改革、改善の論議が活発になってきた。しかし、その内容が、主義、思想、宗教、政党によって勝手に解釈されるので、「日本」としての共通性が感…

日本国の再認識(昭和62年)

日本国の再認識 人類の発展を促す方法の1つとして、日本人は驕(おご)ることなく、世界の異文化としての日本社会を更に充実し、発展させる努力と工夫を続けることが望まれる。 1.自然と文化の特徴 いかなる民族も、自然と共に生きているのだか、日本人にも…

自殺率が世界一高い日本(平成22年)

自殺率が世界一高い日本 1.孤独な人が多い日本 人間が自殺する最も大きな要因は孤独である。孤独は不安や不信、失望感などをかりたて、生きる意欲や存在感を失わせる。 心身ともに弱い人間は、集団をなして社会生活を営むが、その最小単位が家族である。 …

日本的家族の崩壊(平成13年)

日本的家族の崩壊 1.アラブの家と日本の家 去る1月25日から17日間、アラビア半島のサウジアラビアとイエメンの子どもたちの遊びを踏査し、要塞化した町と家を見た。 乾燥した砂漠に生きるアラブ人にとって、物事に対する静観と受動とは滅亡を意味し、生き…

島国でなくなった日本(昭和59年)

島国でなくなった日本 今日の日本は、すでに海上に浮いた島国ではなく、地球的規模でどこにでも通じる大陸の中の一国と化している。そのことを意識せずして国際化社会の理解は困難である。 1.日本の立地条件 日本ほど自然の恵みの豊かな地域は、地球上をく…

日本国騒乱(平成24年)

日本国騒乱 1.自衛(軍)隊が街に出た 本年(平成24年)6月12日午前10時、小銃にヘルメットという武装したレンジャー部隊が東京の市街地を行進した。レンジャーは少人数で敵地に潜入し、重要拠点の破壊や撹乱工作をする実戦部隊の精鋭隊員だ。街行く人々は…

世界一の統合国家・日本(平成22年)

世界一の統合国家・日本 1.豊かな自然と信頼社会 南北に長い列島国日本は、世界でも珍しい程食糧資源の豊かな四季のある自然環境に恵まれている。 そのため、日本人の特徴は、季節を追いかけ、征服するよりも、自然なる神の恵みを待ち、それをとって食べた…

活力のなくなった日本(平成22年)

活力のなくなった日本 1.平和ぼけで主体性が弱い 戦後の日本は、経済活動や福利を第1に考え、国威の高揚や国が偉大であるよりも、個人の自由や幸福を目指してきた。しかも、自国の安全保障を武力よりも国際法や規則等に頼り、主体性の弱い国際化を目標と…