2022-01-01から1年間の記事一覧

現代日本の怪物″ぎまん”(平成10年)

現代日本の怪物‶ぎまん“ 怪物とは正体不明の物、化け物のことである。昔、平安時代に京都の夜空に出没したといわれる怪物“ぬえ”は、人間の恐怖心を吸い込んでエネルギーにしたといわれている。しかし、今日の砂漠化した日本人社会に棲む怪物“ぎまん”は、人間…

日本の必要条件(昭和62年)

日本の必要条件 我々は、これから社会の後継者づくりに努力し、内部の充実と発展を促してしっかりと大地に根をはり、この繁栄と平和の恩恵を地球上の人々と共に、より長く分かち合えるように最善を尽さねばならない。 1.繁栄の条件 定住した稲作農耕文化を…

「日本」という土俵の上で(平成18年)

「日本」という土俵の上で 1.個人性重視の教育 憲法や教育基本法が半世紀以上も棚上げされていたが、今やっと改革、改善の論議が活発になってきた。しかし、その内容が、主義、思想、宗教、政党によって勝手に解釈されるので、「日本」としての共通性が感…

日本国の再認識(昭和62年)

日本国の再認識 人類の発展を促す方法の1つとして、日本人は驕(おご)ることなく、世界の異文化としての日本社会を更に充実し、発展させる努力と工夫を続けることが望まれる。 1.自然と文化の特徴 いかなる民族も、自然と共に生きているのだか、日本人にも…

自殺率が世界一高い日本(平成22年)

自殺率が世界一高い日本 1.孤独な人が多い日本 人間が自殺する最も大きな要因は孤独である。孤独は不安や不信、失望感などをかりたて、生きる意欲や存在感を失わせる。 心身ともに弱い人間は、集団をなして社会生活を営むが、その最小単位が家族である。 …

日本的家族の崩壊(平成13年)

日本的家族の崩壊 1.アラブの家と日本の家 去る1月25日から17日間、アラビア半島のサウジアラビアとイエメンの子どもたちの遊びを踏査し、要塞化した町と家を見た。 乾燥した砂漠に生きるアラブ人にとって、物事に対する静観と受動とは滅亡を意味し、生き…

島国でなくなった日本(昭和59年)

島国でなくなった日本 今日の日本は、すでに海上に浮いた島国ではなく、地球的規模でどこにでも通じる大陸の中の一国と化している。そのことを意識せずして国際化社会の理解は困難である。 1.日本の立地条件 日本ほど自然の恵みの豊かな地域は、地球上をく…

日本国騒乱(平成24年)

日本国騒乱 1.自衛(軍)隊が街に出た 本年(平成24年)6月12日午前10時、小銃にヘルメットという武装したレンジャー部隊が東京の市街地を行進した。レンジャーは少人数で敵地に潜入し、重要拠点の破壊や撹乱工作をする実戦部隊の精鋭隊員だ。街行く人々は…

世界一の統合国家・日本(平成22年)

世界一の統合国家・日本 1.豊かな自然と信頼社会 南北に長い列島国日本は、世界でも珍しい程食糧資源の豊かな四季のある自然環境に恵まれている。 そのため、日本人の特徴は、季節を追いかけ、征服するよりも、自然なる神の恵みを待ち、それをとって食べた…

活力のなくなった日本(平成22年)

活力のなくなった日本 1.平和ぼけで主体性が弱い 戦後の日本は、経済活動や福利を第1に考え、国威の高揚や国が偉大であるよりも、個人の自由や幸福を目指してきた。しかも、自国の安全保障を武力よりも国際法や規則等に頼り、主体性の弱い国際化を目標と…

愛と優しさの戦い(昭和55年)

愛と優しさの戦い 文明が発展し、文化が向上してくると、優しさが望まれるが、愛のない優しさは刹那的で無責任な行為になりがちだ。 1.望まれる言葉には剌がある 愛と優しさは相似的なイメージにあるが、色で表現すると、愛は赤色、優しさは白色で、愛×優…

通じなくなった日本語⑤ おはよう(昭和54年)

通じなくなった日本語⑤ おはよう 朝の挨拶は「おはよう」これは当り前のことで理屈なんかありはしない。挨拶は人間関係の基本であって、およそ義理で使うものではないのだが……。 1.おはようは義理の言葉 「おはよう!」 私は青年たちに笑いながら言った。な…

通じなくなった日本語④ 親友・友人・知人・フレンド(昭和54年)

通じなくなった日本語④ 親友・友人・知人・フレンド 最近の友人関係は、淡泊になったのだろうか。同じ釜の飯を食った仲とか裸の付き合いというのは、野蛮でセンスのない関係となってしまったのか…。 1.男ってのはな! 「男ってのはな、親友とは裸で同じ布団…

通じなくなった日本語③ 親切って何だい(昭和54年)

通じなくなった日本語③ 親切って何だい 私は、夢をみているのではないだろうか。いや、確かに夢なんだ。本当の親切のない世界で、親切という夢を見ながら、青年と語り合っているのだ……。 1.親切は親切だって! 「親切っていったい何だろう?」 私は、知人の…

通じなくなった日本語② バカと馬鹿の違い(昭和54年)

通じなくなった日本語② バカと馬鹿の違い 昭和54年の今年は国際児童年である。世界中の子供の・幼児の泣き叫ぶ表現の共通点は、やがて異質な話し言葉となる。子供はまず自分の両親から言葉を習い、自分の周囲の人々と共に生活文化を身につける。 1.通じな…

通じなくなった日本語① 奉仕とボランティア(昭和53年)

通じなくなった日本語① 奉仕とボランティア 最近、日本語が通じなくなっていると痛感することしきり。ここに交される高校生との会話でも、遂に私の真意は分かってもらえなかった。 1.実感のないボランティア 「ホウシとは何語ですか?」 私は質問の意味がす…

そろばんとはしは無用か(昭和53年)

そろばんとはしは無用か ローマ時代に、食べ物を一度食べて吐き出し、また食べたという、あの異常な時代にも、その社会に住んでいる人々は、何も異常だと思わなかった。 この頃ふいと腹が立つ。何故か埋由ははっきりしない。しかし、食堂でスプーンを握るよ…

戦後一世の本質(昭和52年)

戦後一世の本質 ここでは昭和10年から21年頃までに小学校へ入学した人を戦中派とすると、昭和22年から30年までに入学した人を戦後一世とし、昭和39年までに入学した人を戦後二世とする。この後に戦後はない。 1.記憶の原点 私は、高知県幡多郡小等町田ノ浦…

われら素晴らしき人間(昭和50年)

われら素晴らしき人間 人間はこの地球上で、外部環境に最も適応してうまく生きてゆくための技術的専門家であり、発明と発見の天才である。 1.進歩のための工夫 動物の中で人間だけが外部環境に適応したり、自然を克服したりするために考え、工夫し.自分た…

生涯学習社会の精神的貴族(平成6年)

生涯学習社会の精神的貴族 1.第10回無人島生活体験 豊後水道の御五神島で、昭和60年の夏から毎年開催されてきた最終回の無人島生活体験は、小中高校生と大人のスタッフなど総勢125名で、7月25日から8月3日まで、9泊10日の間、大自然のもとに開催された。…

IT・AI時代に対応する少年教育(令和3年)

IT・AI 時代に対応する少年教育 1.IT・AIによる不信社会 これまでの人類は、あらゆる災害に対応し、よりよく長く生きるために、いろいろな工夫・改善をなして、今日の豊かな科学的文明社会を作り上げてきた。 今回のコロナウィルスの感染拡大によっ…

科学的文明社会と義務教育(平成27年)

科学的文明社会と義務教育 1.人類未経験の豊かな社会 第二次世界大戦の戦後70周年目を迎えた人類は、これまでに経験したことのない、科学技術の発展した、豊かな時代を迎えている。特に日本は、大東亜(太平洋・東アジア)戦争を仕掛けて、多大な犠牲を…

ボーダレス社会の文化(平成3年)

ボーダレス社会の文化 1.これからの文化 この地球は、文明の発展と共にますます国境、境のないボーダレスな世界になるだろう。そして、個の確立が要求され、共通性の少ない不安定、不確実な社会になるにちがいない。中でも日本は、最も早くそうなるだろう…

われらは生きている (平成13年)

われらは生きている 1.ヒ. ト3は弱く生まれる 人の子のヒトは、動物界の中で非常に弱い状態で生まれてくる。身を守るための力を何ももたず、言葉を話すことも2本足で立って歩くことも、食物をとって食べることもできない。 10月10日の月満ちて生まれてく…

子どもの遊びの形態と文化的特徴(昭和61年)

子どもの遊びの形態と文化的特徴 よりよい社会人に必要な基本的能力は、発達段階に応じて培われるべきものであるが、その習得には、幼少年時代の素朴な遊びほど重要なものはない。 1.遊びは民族文化の原点 いつの時代も社会人は、よりよい後継者を育む努力…

社会の素養を育む野外文化活動を(昭和59年)

社会の素養を育む野外文化活動を 野外文化活動は、スポーツ的な要素、娯楽的な要素、情操的な要素を含み、青少年の社会性、人間性を培い、知的欲望と体力養成を同時に満たすきわめて重要なことである。 1.自然と風習 南北に長い日本列島の自然は活力と緑に…

ぞうりをはいた子どもたち(昭和58年)

ぞうりをはいた子どもたち 小学校3年生頃までは、学校や町中ではぞうりをはいて遊ぶことを奨励してはどうだろうか。 1.長く立てない青少年 十数分間の朝礼に立ち続けられない小中学生や高校生が多いことは周知のことであるが、大きな問題になることなく、…

少年教育に望むこと(昭和56年)

少年教育に望むこと 地球上のより多くの民族が、宗教や思想の組織化のためではなく、自主管理のもとに吸収型の国際化ができるよう努力している。 1.人間に共通した能力の開発 いかなる人間も社会の一員としてしか生きていけない弱さがある。その範囲の大小…

健康であるためには(昭和51年)

健康であるためには 誰もが健康でありたいと願うが、それは子供の時にほぼ決定される。子供は本能的に生命力を養成しようと活動するもので、子供時代の少々のけがは、大人になってからの健康の勲章でもある。 1.子供はよくけがをする 猿も仔猿の時は、よく…

少年教育と暗闇体験(平成19年)

少年教育と暗闇体験 1.暗闇の不安 闇とは、光が全くささず、何も見えない状態のことで、“一寸先は闇”、“闇にまぎれる”“真相が闇に葬られる”等と使われている。 古来、人類が最も恐れたのは闇であり“魔の闇”とも表現された。光のない世界は、不安と孤独にさ…